ハーブ・アロマ手作り:春の花のモイスト・ポプリ(2)
カーネーション、ナデシコ、スイートピー、カーネーションアブソリュート精油を使う。
モイストポプリは粗塩をたっぷり使って、より素材の花の色や香りが残るポプリです。今回はカーネーション、ナデシコ、スイートピー、カーネーションアブソリュート精油などつかいった春の花のポプリです。
ハーブ・アロマ手作り:春の庭のモイストポプリ。
目次
1.ハーブ・アロマで手作りするポプリついて
2.ハーブ・アロマでポプリを作るときに必要な道具
3.ハーブ・アロマで手作りするポプリに必要な素材
4.ハーブ・アロマで手作りするポプリの作り方
5.材料を入手する方法と予算について
6.ハーブ・アロマで手作りするポプリに関連する記事
1.ハーブ・アロマで手作りするポプリについて
(1)そもそもポプリとは?
ポプリとは、花・果皮・ハーブ・スパイス・木・コケ・精油(アロマオイル)などを混ぜ合わせ熟成させたので、部屋を香らせるために用いる室内香の1種です。好みに合わせて材料を選び、香りの強弱も加減してオリジナルの香りを楽しむことができます。想い出の花、記念の花などを加えればより楽しみも深まります。
(2)ポプリの歴史
ポプリの語源は、フランス語で「ごった煮料理」を意味したpot pourri(直訳=「腐った鍋」)で、多様な材料を混ぜてつぼに入れて作ったことに由来するとされています。
ポプリが文献に登場するのは16世紀以降のことで当時は、乾燥した花や葉をパウダー状にしたいわゆる『百花香』=Pot-pourriのような、、ある種のすりつぶした芳香樹皮や根粉末と花びらを混ぜたもののようです。
しかし、そのはるか以前から、世界各地てポプリ的なものが作られてきました。ポプリのルーツをたどると、古代エジプトや古代ギリシアにまでさかのぼります。香料の歴史、そして文化そのものろ歴史がポプリの歴史といってもよいでしょう。
(3)ポプリの種類
ポプリには
材料を全て乾燥させて作る ドライ・ポプリ
生かわきの花に粗塩をたっぷり加える モイスト・ポプリ
油脂を混ぜた フレンチ・オリジナル・ポプリ
の3つのタイプがあります。
今回つくるのは、モイストポプリです。主材料の花を生乾きにとどめ、色や香りをなるべく残すために、防腐剤としての効果がある塩をたっぷり使用します。
ドライポプリより、その花独特の香気やくせが残るのが特徴です。
(4)ポプリの仲間
ポプリのような室内香にはいろいろなものがあります。
サシェは匂いぶくろのことで、ポプリやハーブを布袋に詰めたものです。
スリープ・ピローは、眠りを誘う香りのミックスを入れて、枕辺に置きます。
ポマンダーは陶製の丸い器に主としてポプリを入れたものです。
その他、レターセット、アクセサリーなどさまざまなものがポプリと組み合わせることができます。
2.ハーブ・アロマでポプリを作るときに必要な道具
・浅い紙箱やお盆、ザルなど
材料を乾かすときに使います。
・大小の密封瓶
計量のために使います。料理用のもので兼用できます。
・小皿、ボール、小鉢など
そろえた花や葉、スパイスなどの材料を取りわけたり混ぜたりします。
・計量カップ、
200ccの計量カップ、15cc(大さじ)、5cc(小さじ)の計量スプーンなどがあると便利です。
・乳鉢
スパイスや樹脂などを砕くのに使います。大きさは直径10cm〜20cmのものがよいでしょう。
・白熱灯ライト、オーブンなど
材料を仕上げ、乾燥するときに使います。
・その他
スポイト、木のスプーン、ハサミ、瓶にはるラベル、スパイスミルなど。
3.ハーブ・アロマで手作りするポプリに必要な素材
美しくかぐわしい花やハーブを乾かし、珍しいスパイスを集め素材とします。
(1)基本の材料
・花
花は、乾いたあともよく匂いがして、花の色も残るものがポプリに適しています。代表的な花には、バラ、ジャスミン、キンモクセイ、キク、フジバカマ、ニホンスイセン、ウメなどがあります。
香りがほとんどない花や乾燥後に香りが消える花は、色や形が美しいものは色取りに使います。例えば、ヤグルマソウヤデルフィニュウム、ランなどです。
・葉
クスノキ、パチュリ、モミ、スギ、ユーカリなど好みの葉を色取りに使います。
・ハーブ
ラベンダー、ミント、カモマイルなど多くのハーブがポプリに使用できます。花つきのものもポプリに色どりをそえます。
・スパイス
ポプリの香りに深みをそえ、保留剤の役目をします。原型に近いもの(ホール)を購入して砕いて使います。クローブ、シナモン、オールスパイスなどがよく使われます。
・保留剤
香りを統合し、長持ちさせる役割をします。よく使われるもにのには
オレンジ、リンゴ、レモンなどの皮
ビャクダンなどの木片
オリスルートなどの根
粗塩、黒砂糖
などがあります。
・精油
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。少しでも香りが強いので注意しましょう。
・飾りの素材
貝殻、小石、木の実など、いろいろな自然の素材を集めて楽しみましょう。
(2)今回使用する材料
春の花の香りを引き立ててくれるブレンドです。
①春の花
今回使用する花は、カーネーション、ナデシコ、スイトピーです。春先によく花屋さんで売られている切り花を使用しました。
これでなければならないということはありません。先に紹介したように、ポプリに向き不向きはありますが、気にせずにいろいろ選んで挑戦してみてください。
○カーネーション
カーネーションは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草です。
カーネーションの歴史は古く、17世紀ヨーロッパだけでも300種類以上の品種があったといわれています。その後、日本には江戸時代に輸入されたといわれています。
カーネーションは何と言っても「母の日」の象徴です。鉢花、生花としても世界的にポピュラーで人気が高い花です。
○ナデシコ
日本では秋の七草として知られていますが、ナデシコの仲間であるダイアンサス属は、世界に約300種が分布しています。やさしい草姿に可憐な花を咲かせ、香りも魅力です。そのため切花としても、鉢花としても人気で広く流通しています。カーネーションもダイアンサス属に含まれます。
四季咲き性のものが多く、常緑性で耐寒性も強いので、品種や場所によってはほぼ周年にわたって入手することができます。
○スイトピー
スイートピーはイタリア・シチリア島原産のつる性の一年草または宿根草です。一般によく親しまれているのは春咲き品種ですが、ほかに夏咲き品種や冬咲き品種もあります。
花色はピンク、ホワイト、パープル、イエローなどと、バリエーションが豊富なのも魅力です。
蝶がひらひら舞っているようにも見える花姿が愛らしく、春らしさを感じる花の1つです。
スイトピーの原種はバラ、ブドウに似た甘くフルーティな香りをもちます。
が、品種改良によって香りを持たなくなった近年の品種は、微香であることが多いようです。
○コーンフラワー
コーンフラワーは、日本ではヤギルマギクと呼ばれています。
ヤギルマギクは、キク科・ヤグルマギク属の多年草です。もともとは麦畑やとうもろこし畑に生える雑草でしたが、園芸用に品種改良され、今ではドイツやエストニアなどの国花となっています。
花の色が鮮やかで、乾燥しても色あせないことから、切り花やドライフラワーにして楽しまれています。
アントシアニンやフラボノイドを多く含み、ハーブティーとしても親しまれています。
②スパイス他
○乾燥させたマンダリン、ゆず、レモンの皮
今回はレモンの皮を使用します。レモンの皮も保留剤としての効果が期待できます。
○クローブクローヴはモルッカ諸島が原産とされています。開花前の花蕾を乾燥させたもので、その形が釘のようなことから日本では丁字と呼ばれています。
ポプリやサシェにはシナモンとともに最もよく用いられるています。保留剤の役目もします。
ポプリの香りに深みを加えるために使用します。
③粗塩(天然の塩)
防腐剤としての役目をします。
④精油
今回は春の花のイメージとして代表的な花であるカーネーションから抽出された、カーネーション・アブソルートを使用しました。
○カーネーション・アブソリュート
カーネーションは、甘くやや濃厚でスパイシーさも併せ持つ香りをもちます。
他の香りとブレンドすると香り全体を引き締め、奥行き出す高価で、フレグランス製品の原料としてよく用いられています。
カーネーションは、採油率(原料全体から抽出される精油の割合)が0.02〜0.03%ととても低く大変貴重な精油です。
4.ハーブ・アロマで手作りするポプリの作りかた
材料
花などの素材
・1〜2日乾かした花(花びらをはずしてつかいます)
(カーネーション、ナテシコ、スイートピー) 1カップ、
・コーンフラワー 大さじ1
ハーブ、スパイスなど
乾かしたレモンの皮 大さじ 1
クローブ 小さじ 1/2
天然塩400g、
精油
カーネーション・アブソリュート 2滴
密封できるビン
作り方
①まず花から花びらをはずしてバラバラにして1〜2日乾かします。今回はカーネーション、ナデシコ、スイートピーをつかいます。
*花屋さんで購入しました。スイートピーがほのかに香ります。カーネーションは、乾くと濃い色になるといわれています。今回はピンク色のものです。
約2日間乾かします。スイートピーは花びらをそのまま乾かします。
②準備した保存ビンに天然塩と花を交互にいれていきます。最初と最後は塩です。他に乾燥したコーンフラワーをつかいます。
*天然塩は海塩でスクラブソルトをつかいました。乾燥しても青い色のキク科のコーンフラワーをつかいました。
③保存ビンに布などをかけて暗いところに10日間おいてねかせます。
10日後、他の材料をくわえていきます。
*モイストポプリのつくり方にはいろいろあるそうで、最初から全部の材料を混ぜてしまうもの、今回のようにかきまわさずに10日間ねかせる方法などがあると熊井明子著愛のポプリに記載されています。
香りが楽しみです。
④塩と花びらを交互に保存ビンにいれて10日間ほどねかせたものを木のフォーク(わりばしなどでもよい)で砕き、花以外の材料を加えていきます。
*乳鉢で砕いたクローヴ小さじ1/2、完全にかわかしたレモンの皮大さじ1を加えて混ぜます。
今回はカーネーションの花を多くつかいましたが、カーネーションの中でもポプリに向いているのは、クローヴのにおいの強いジリ・フラワーと呼ばれた品種ですが、普通のカーネーションしか手に入らない場合にはクローヴを少量加えるなどと愛のポプリ熊井明子著に記載されています。
⑤カーネーションアブソリュート精油を2滴加えて良く混ぜ合わせます。
*カーネーションアブソリュート精油です。花から抽出された精油ですが、採油率が低いので貴重な精油ともいわれます。濃厚な香りですが、すっきりする感じもします。アロマテラピーでは芳香浴としてつかわれる精油です。
⑥最低6週間ねかせます。容器にはラベルをはります。
*前回の段階で、ねかせる前は香りがあまり感じられなかったのですが、10日間ねかせたものは、甘く感じましたが、植物の独特の香りも感じられるようになりました。
10日間ねかせたものに他の材料を加えて5日後に嗅いでみたところ、ビターチョコレートのような香りも感じられました。
これからの香りが楽しみです。
参考文献 愛のポプリ、ポプリの詩/熊井明子著
5.材料を入手する方法と予算について
(1)材料の入手方法
ポプリに使用する花材は、街の花屋さんで販売している花を使用しますが、農薬などが気になるかたは、ご自分で栽培して使用するとよいでしょう。
精油やハーブはネットショップやハーブやアロマテラピーの専門店で入手できます。精油はたくさんのブランドがありますが、ここでは当サイトで主に使用しているブランドについて紹介します。
1)精油
*おすすめのブランド
生活の木
生活の木は、国産の精油のブランドです。東京都渋谷区に本社をおき、アロマテラピー関連商品を幅広くとり揃えています。
当サイトで紹介している素材はほとんど手に入ります。値段も比較的リーズナブルです。
当サイトは、2003年から2015年まで、生活の木のパートナーショップとして店舗を運営していたので、当サイトでももっともよく使用しています。
ニールズヤード
ニールズヤードはイギリスの精油のブランドです。ブルーボトルの精油でよく知られています。日本にも東京を中心に店舗があります。ちょっと価格は高めですが、オーガニックの精油も充実しています。
*ブランド選びのポイント
以上当サイトで主に使用している2つのブランドを紹介しましたが、精油を買う前にはいくつか確認した方が良いことがあります。
最低、次の3点が確認できればOKです。
・化学合成されていない、純粋なもの、つまり100%天然のオイルか。
・精油名・学名・原産国など精油の情報が記載されているか。
・成分表の記載があるか。
精油は安価なものから、高価なものまでピンキリですが値段だけでは、その精油が天然で品質が保証されるか判断は難しいものです。
100%の保証にはなりませんが(記載の偽装ということもありえます。)、上記の3点を確認すると良いでしょう。
*AEAJ表示基準適合精油認定制度
社団法人日本アロマ環境協会では、消費者を保護する観点から、精油ブランドを対象とした「表示基準」を定めています。
AEAJ表示基準適合認定精油として認められた精油にはラベル部分や使用説明書に必ず精油製品情報の8項目と4つの使用上の注意事項が記されています。
参考にするとよいでしょう。
2)バスソルト
一般にスーパーなどで売られている食塩は精製されていて、ミネラルなど栄養成分がほとんど含まれていないので、ミネラルなど栄養成分が豊富な天然を使用します。
天然塩は、スーパーなどでもインターネットでも豊富に販売されていて選択に迷うほどです。お好みの天然塩を試してみてください。
当サイトで主に使用しているのは、上記専門メーカーが販売しているバスソルト用の天然塩です。スクラブ用の粒があらめの塩も販売されています。
ちょっと値段は高めですが、おすすめです。
(2)材料入手のための予算の目安
・精油
精油はブランドによって3ml〜10mlのボトルで販売されています。精油の種類により高低はありますが、一般の精油は、10mlボトルで1500円〜3000円くらいが目安です。
10mlボトルだと、精油の滴数として200滴くらい(一回5滴使用するとすると40回分)になりますので、1滴8円から15円くらいになります。
*カーネーション・アブソリュートの精油は、大量の原料からわずかしか取れない貴重なオイルなのでバリューオイルともいわれています。
1mlで2500円〜以上で、一般的なオイルより10倍ほど高価です。
2滴で160円ほどになる高価なオイルです。
・天然塩
当サイトで主に使用している”生活の木”のバスソルトだと、
1kgで約1000円程度なので、400gだと400円程度になります。
・ハーブ
専門店で入手できるハーブは、小袋(10〜30g程度)で500〜800円程度です。
今回はレモンの皮(レモンピール)、コーンフラワーを使用しました。
*今回の予算
合計で今回の材料費は花材をのぞいて、600円程度です。
市販の芳香剤、ポプリなどと比べてみてください。