入浴剤手作り:ハーブや野草を使った薬湯

 歴史上の伝説の美女達は、ハーブが香るお風呂に入ることで、肌の美しさと若さを保ったといわれています。
v私たち日本人も古くから、様々な薬用植物(ハーブ)を薬湯として利用してきました。
 ハーブや薬草のほかにも、ユズやリンゴなどの果物、ショウガなどのスパイス類など、入浴剤としてして利用されるものがたくさんあります。
 入浴剤として使用すれば、素材の香りや肌ざわりを直接五感で感じることができ、薬湯としての効果も期待できます。
 ここではいろいろな入浴剤の素材について紹介します。
 
この記事はこんな人にオススメしています。
・自分が栽培して収穫したハーブや野菜を利用して、より自然派の生活を楽しみたいかた。
・市販の入浴剤の色や香りが苦手で、より自然な香りを求めているかた。
・ハーブやアロマテラピーに興味があり、生活に取り入れてみたいかた。
 
フレッシュラベンダーの入浴剤

 

目次

1ハーブや薬草を使った入浴剤について
(1)薬湯の歴史
(2)薬湯とハーブバス
 
2.ハーブや野草など薬湯の素材
(1)ハーブ
(2)野草
(3)樹木
(3)果物
(4)スパイス、野菜など
3.ハーブや薬草を使った入浴剤のレシピ
 
4.ハーブや薬草を使った入浴剤を作る上でのポイント
(1)加える素材の分量について
(2)加える素材の入手方法について
(3)入浴剤としてお風呂に入れてはいけない危険な植物
5.その他おすすめの手作りの入浴剤の記事

1.薬草やハーブを使った入浴剤(薬湯)について


 

 (1)ハーブバス、薬湯の歴史

 歴史上の伝説の美女達は、ハーブが香るお風呂に入ることで、肌の美しさと若さを保ったといわれています。
 ハーブとは香りがある植物(香草)、薬効がある植物(薬草)の総称です。
 
 私たち日本人も、古くから、様々な薬用植物(ハーブ)を薬湯として利用してきました。
 室町時代に生まれたとされている、五木八草湯は、しょうぶ・よもぎ・オオバコ・はすのみ・オナモミ、スイカズラ・クマツヅラ・ハコベの八草が使われたといわれています。
 
 端午の節句の【菖蒲湯】、土用の丑の日の【桃葉湯】、冬至の日の【柚子湯】は江戸時代には定着したといわれており、今でも一度は入ったことがある方は多いでしょう。
 
 入浴剤には、薬草(ハーブ)のほかに、様々な樹木や草本、果実やスパイス、野菜などを利用することができます。
 いろいろな植物をそのまま入浴剤として使うと、その魅力的な香りを楽しむほか、「美肌効果」や「リラックス効果」などの効果も期待できます。
 ここでは入浴剤として利用できる色々な素材を紹介します。
  

(2)薬湯とハーブバス

  ハーブとはもともとは、ヨーロッパにおいて薬用植物の総称として使われてきた言葉であり、基本的には日本の本草(薬草)と同じものです。
 ただし、ハーブには”香草(香りのある植物)”という側面もあり、美容や健康に対する香りの効能がより意識されてきました。
 そのことが現在のアロマテラピーにつながっています。
 
 それに対して東洋の本草(薬草)は、香りの効能についての側面はあまりないように感じています。
 日本にも香道など香りの文化がありますが、実用より文化的な面を重視しているように思います。
 
 ハーブバスや薬湯に親しみながら、東洋と西洋の文化の違いなどを考えてみるのも面白いかもしません。

2.ハーブや野草など入浴剤の素材

 ハーブや薬草のほかにも、ユズやリンゴなどの果物、野菜類、ショウガなどのスパイス類など、入浴剤としてして利用されてきたものはたくさんあります。
 ここでは、そのいろいろな素材を紹介します。
 


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 (1)ハーブ

 ハーブとは芳香植物(香りのあるあ植物)の総称です。
 ハーブ(Herb)の語源は、ラテン語で草を意味するHerba(ヘルバ)に由来しています。
 ハーブは、料理やお茶、園芸や染料、香料などさまざまな分野に利用されており、植物学者や園芸家、料理研究家など、それぞれの立場により幾つかの定義がありますが、より一般的に言えば、「ヒトの暮らしに役立つ、特に健康維持に役立つ特性を持つ植物の総称」ということになるでしょう。
 
 ハーブは一般的には料理やお茶として利用されるイメージがありますが、もともと薬草としての使用の歴史があり、薬湯としても広く使われてきました。(フレッシュ)で、またはドライ(乾燥したもの)で、入浴剤として利用できます。
 
 以下に代表的なハーブを紹介します。
  
○ラベンダー
 ハーブといえばラベンダーというくらい、リラックスの香りとして有名なハーブがラベンダーです。
 
 ラベンダーは芳香性の低木で、1mほどまで成長し、灰色がかった緑色の複葉をつけます。真夏に紫色の小さな花を咲かせた長い花序をつけます。
 ラベンダーの語源は、「洗う」という意味のラテン語”Lavare"からきています。
 ラベンダーの仲間は、地中海沿岸からアフリカ北部を中心に約37種類が知られています。栽培品種の数は100種類を超えるといわれ、花色、形、高さなどバラエティに富んでいます。もっともよく知られている品種は、コモンラベンダー、トゥルーラベンダー、真正ラベンダーなどとも呼ばれる”Lavandyla angustifolia"で、精油を生産するために広く栽培されています。その他、L. latifolia(スパイク・ラベンダー)、L. x intermedia(ラバンジン)などが精油を採るために栽培されています。

 ラベンダーは、伝統的にハーブとして古代エジプト、ギリシャ、ローマ、アラビア、ヨーロッパなどで薬や調理に利用され、芳香植物としてその香りが活用されてきました。
 現代でも、精油は香料として用いられたり、アロマセラピー(芳香療法)としてリラクセーション等に利用されています。
 日本には江戸時代後期の文献にその記述があり、現代でも北海道の富良野地方のラベンダー畑は観光地としても有名です。
 
○ミント
 
 ミントはシソ科ハッカ属の総称です。さわやかな香りが魅力で、ペパーミントやスペアミントなどが古くから栽培され、広く親しまれています。自然雑種ができやすいため、かつては600種ほどに分けられていましたが、今では40種ほどに整理されています。世界各地に分布し、種により精油成分が異なるために香りもさまざまで、チョコレートやオーデコロン、グレープフルーツ、バナナなど、意外な香りをもつミントもあります。
 ハッカアメなどで知られているハッカは日本に自生するミントで、メントールの含有率が高く、ジャパニーズハッカとも呼ばれてかつては北海道などで輸出用に生産されていました。
 
 *【ハーブ大百科/デニ・バウン著】には、
 さまざまな種類のミントは、どんな庭でも育つと記載されています。実際当サイトの所有する蔵王の農園でも育ちすぎで困るほどです。お庭で栽培して増えすぎて困っているかたも多いでしょう。
 同書にはまた、スペアミントは、古代ローマの時代から欠かせない料理用ミントで匍匐性の甘い香りのする多年草、アップルミントは、匍匐性の毛に覆われた多年草、芳香性のハーブでフルーティーなスペアミントの香りがする、ボウルズミントは、変異種にとんだスペアミントとパイナップルミントの交配種などと記載されています。
 いろいろなミントはそれぞれ香りに個性があり、魅力的です。 
 
○タイム 
 タイム  はシソ科タイム属 (Thymus) の植物の総称で、およそ350種が知られています。芳香を持つ多年生植物で、日本でも代表的なハーブとしてよく知られています。
 トロイア戦争のとき、ヘレーネが流した涙から生まれたという伝説をもち、古代ギリシアでは祭壇や浴場での薫香としたり、戦士がタイムの冠をつけて自らを勇気づけたといわれています。
 殺菌・抗菌効果が強く、肉類やスープ、シチューなどの香り付けに使われます。
 タイムの葉は、脂肪の多い食品の分解を助け、消化を促進してくれる効果があります。また、強い消毒作用により、タイムで煎れたハーブティーを飲めば、二日酔いやのどの痛みに効くと言われています。
 
ローズマリー
 ローズマリーはシソ科の常緑低木です。ちょっとさわっただけで、鼻をくすぐる濃厚で強い芳香は、数あるハーブのなかでももっとも芳醇なもののひとつです。花は秋から春にかけてつぎつぎ咲き、色は目のさめるような青から、水色、ピンク、白色さまざまです。立性のものは2mにまでなり、南ヨーロッパでは生垣に使われます。
 料理でもおなじみのローズマリーは抗酸化力に富むため「若返りのハーブ」として知られ、血液循環を促進するとともに記憶力を高めます。精油は冷えなどの循環不良にオイルマッサージで用いられます。
 ハンガリーの王妃が若返った伝説があるローズマーをブレンドした「ハンハリアンウオーター」は有名です。
 
○レモングラス 
 
 レモングラスは熱帯原産のイネ科の多年草です。がっしりした棒状の茎と、レモンの香りがする長さ50cmになる細長い葉を有しています。東南アジアでは、タイのトムヤンクンをはじめ料理に欠かせないハーブです。
 葉に独特のレモンのような香りがあります。消化を促すハーブとして人気がありハーブティーとしてもおなじみです。
 葉から採れる精油は香水に利用され、また虫よけスプレーなどにも使用されます。
  
○カモミール(カモミール・ジャーマン)
 
 ジャーマン・カモミールはやさいしいリンゴの香りがする飲みやすいハーブティーです。リラックスのハーブティーとして世界中で飲まれています。ピーターラビットの童話でもおなじみです。
 日本では、日本薬局方に入っていた薬草でもあります。
 ジャーマンカモミールはまた、消炎、美白効果があるといわれており、美容ハーブとして化粧品などにも配合されています。
 
○その他のハーブ
 セージ、オレガノ、レモンバーム、マロウ、アニスヒソップ、マロウ、ローズ、ゼラニウム、マリーゴールド
 など、お庭で栽培していて入浴剤として利用できるハーブはたくさんあります。
 
 ハーブは繁殖力が強く、繁すぎて処分に困るものです。ハーブティーとして飲用できるハーブは入浴剤としても使用できます。
 そんなときは是非試してみてください。

(2)野草

 私たち日本人は古くから、様々な薬用植物(ハーブ)を薬湯として利用してきました。
 室町時代に生まれたとされている、五木八草湯は、しょうぶ・よもぎ・オオバコ・はすのみ・オナモミ、スイカズラ・クマツヅラ・ハコベの八草が使われたといわれています。
 ヨモギやオオバコなど身近な野草が薬湯に利用されてきたことがわかります。
ここでは、入浴剤として薬湯に利用できる身近な野草について紹介します。
 

 
①スギナ(ホーステール) 
  お庭の雑草としてやっかいもののスギナ。春の風物詩として誰でも思い浮かぶ「ツクシ」は、スギナ  の胞子茎(ほうしけい)です。
 
  スギナは、北半球の暖帯以北に広く分布し、山野、湿地、道端に普通にみられる夏緑多年生シダ植物です。古くから穏やかな利尿剤として用いられてきました。その最大の特徴はケイ素を最も多く含むハーブということです。ケイ素は骨や歯、髪、爪、皮膚の結合組織などを健やかに保つことに重要な働きをしている成分です。
 
  牧野和漢薬草大図鑑には、成分がアルカロイドのパルストリン、サポニンのエキセトニン、フラボノイドのイソクエルセチンほかビタミンC、ケイ酸を含み、民間では古くから利尿、鎮咳他として用いられ、皮膚疾患他に外用するなどと記載されています。
 
注意:メディカルハーブ ハーバルセラピストコース・テキストには、スギナは心臓または腎臓の機能不全には禁忌と記載されています。お茶などで大量に服用する場合は注意が必要です。
 
②ヨモギ
   ヨモギモチは誰でも一度は食べたことがあるでしょう。春に食べないと落ち着かないという人も多いかもしれません。
 
 ヨモギは、キク科の多年草です。日当たりのよい原野や道端などに集団を作って生えて、高さは1メートル前後になり、初秋に地味な花をつけます、風媒花のため多量の花粉を飛ばします。春の地表に生えた若芽は食用になり、餅に入れられることから、別名モチグサとも呼ばれています。灸のもぐさ、漢方薬の原料になるなどいろいろ利用されています。
 
 キク科ヨモギ属の植物は約250種ほどあり、世界に広く分布し、砂漠にも生育しています。その多くが、葉や果実などが食用や薬用にされています。
 春、荒れ地の枯草の中にいち早く緑色の姿をみせるのがヨモギA. princeps Pamp.やニシヨモギA. indica Willd.です。ヨモギは繁殖力が強く生命力が強い植物で荒地でも旺盛に生育します。ヨモギは本州から朝鮮半島まで、ニシヨモギはインドから中国、東南アジアを経て西日本まで分布しています。。
 これらのほか、本属の植物としてよく知られるものに、オトコヨモギ、カワラヨモギ、タラゴン、ヒメヨモギ、ヤマヨモギ(別名エゾヨモギ)などがあります。
 
③タンポポ
 
 これも春の代表的な野草としておなじみのタンポポ。
 タンポポはキク科タンポポ属の多年草です。道端で普通に見られる野草の代表ですが、普通にみられるのはヨーロッパ原産のセイヨウタンポポポで、日本在来のニホンタンポポは数が減っています。
 
 タンポポは【蒲公英】という漢方名があり、昔から催乳薬(お乳の出をよくする薬)として使用されてきました。
 ヨーロッパでは【タンデリオン】の名で知られており、健胃剤として使用されてきました。その他、肝臓の力を強めて解毒するデトックスハーブとしても有名です。
 葉から根まで、全草が利用できます。
 特にその根を焙煎したタンポポコーヒーは、ノンカフェインの健康飲料として人気です。
 
④オオバコ
 オオバコはどこでも見かける雑草です。
 オオバコ科オオバコ属の多年草で日本全国に平地から山地まで広く分布しています。踏まれても出てくる強い植物で、今でも地方にいくと、車の輪だちにそって生えています。
 この種子を漢方では【車前子】と呼び咳止めの処方によく使われています。
 入浴剤としては全草をカットして使用します。
 
⑤ゲンノショウコ
 
 ゲンノショウコはフウロソウ科フウロソウ属の多年草です。
 昔から薬用として使用され、下痢止めとして有名ですが、実物は知らない人が多いと思います。
 土手や山ぎわなどの日当たりのよい場所にみられます。30cmから50cmの草丈で、茎は地をはい、夏から秋の初めに白から赤の愛らしい花を咲かせます。
 当サイトの所有する蔵王の農園では、夏から秋に群生して処理に困っています。
 
 全草にタンニンを豊富に含んでおり、特に開花時には20%ほど高まることが知られています。全草を収穫して日かげで乾燥して使用します。
 タンニンは消炎作用が高く、皮膚トラブルに効果があるとされています。
 
⑥その他の野草
 その他たくさんの野草が入浴剤として使用できます。
  ”よく効く薬草風呂:池田好子著”より紹介します。
よく知ってるものより、まったく知らないものほうが多いかもしれません。
どんな植物かいろいろ調べていくのも楽しいものです。ネットなどで検索して調べてみてください。
 
・春の野草 
 アオキ、ウスバサイシン、コブシ、カキドオシ
 
・夏の野草
 オトギリソウ、カキ、シソ、スベリヒユ、ドクダミ、ヨメナ
 
・秋の野草
 オタネニンジン、クマザサ、コモガヤ
 
・冬の野草
 センキュウ、トウキ、アロエ、イノコズチ
 
 

(3)樹木

 樹木は大きく分けて針葉樹と広葉樹があります。
針葉樹を利用した民間浴療法としては、マツ葉浴、スギの葉浴、ヒノキ葉浴など療法があります。
 広葉樹を利用した民間浴療法としては、モモ湯、ビワ湯などが有名です。
 入浴剤として使用されている樹木について紹介します。いろいろ試してみてください。
 

 
①マツ
 マツの種類は世界中でたくさんありますが、日本でマツといえば普通はアカマツとクロマツをさします。アカマツは、樹皮が赤く、葉が細くて長く柔らかいので女松というのに対して、クロマツは樹皮が灰黒色で、葉は硬くて男性的な感じのすることから男松と呼ばれています。アカマツは主に山地などで見られるのに対して、クロマツは、海岸などで防風林や防砂林として利用されています。
 入浴用としてはアカマツ、クロマツとも利用さできます。その他、同じマツ科マツ族の、ハイマツ、チョウセンマツ、ゴヨウマツ、リュウキュウマツ、またカラマツ属のカラマツやダイマツ、ヒマラヤスギ属のヒマラヤスギなども、入浴剤として利用できる。
と薬湯:大海淳著”には記載されています。
 また、同著には、精神的な安定やストレス解消、保湿による神経痛や腰痛などに効果があるとの記述もあります。
 
②モモ
 モモは中国大陸原産のバラ科サクラ属の落葉小果樹です。日本には古代に渡来し、弥生時代にはすでに食用されていたといわれています。
 桃の節句にみられるように、我々日本人の生活に奥深く入り込んだ果物です。
 
 薬湯には花が咲いた後に出る葉と枝を利用します。古くからモモの湯は、土用の日に入る週間があり、皮膚疾患や冷え性に効果があるとされてきました。
 
③その他の樹木
 その他、使用できる樹木はたくさんあります。いろいろ試してみてください。
 
*主に葉を使用する樹木を紹介しています。果実を利用するものについては、果物の章で紹介しています。
 
・針葉樹
 モミ、スギ、ヒノキ、コウヤマキ、カヤ
 
・広葉樹
 サンショウ、ビワ、ヤマザクラ、クワ、イチジク、クリ、クヌギ、コブシ、クスノキ、キンモクセイ、ニワトコ、スイカズラ、アカメガシワ
 

(4)果物

  冬至のゆず湯に代表されるように、果物は昔から入浴剤として利用されてきました。 ミカンなどの柑橘類やリンゴなどもそのまま入浴剤として使われています。果物をそのまま入浴剤として使うと、その魅力的な香りを楽しむほか、「美肌効果」や「リラックス効果」などの効果も期待できます。いろいろな果物で試してみましょう。
 

 
①ユズ
 ユズ(柚子、学名:Citrus junos)はミカン属の常緑小高木です。海外でも「ユズ」と呼ばれています。原産地は中国の揚子江上流とされていますが、日本でも古くから(平安時代には伝わったと見られていまます。)各地で栽培され、寒さに強い事もあり、東北地方まで栽培が可能な数少ない柑橘類です。
 一般的に流通しているのは、黄色く熟してから収穫する「黄ゆず」で、11月頃に旬を迎えます。夏に出回るのは「青ゆず」で、未熟果を利用します。
 
  ユズの果汁や皮は、日本料理等において、香味・酸味を加えるために使われています。また、果肉部分だけでなく皮も七味唐辛子に加えられるなど、香辛料・薬味として使用されてきました。
 ユズはその独特の爽やかな香りと果皮の色合いで、それそのものがメインになる事は無く様々な料理の引き立て役として日本料理には欠かせない重要な食材として人々の五感に触れてきました。
 ユズの果汁や果皮には多くの栄養が含まれています。カリウムやビタミンC、クエン酸が豊富で、風邪予防や疲労回復、美肌効果があります。肌に良いと言われているビタミンCの含有量は柑橘類の中でもトップクラスです。
 
 またユズの果実は橙子(とうし)、果皮は橙子皮(とうしひ)と称して薬用にされてきました。悪心、嘔吐、二日酔い、魚やカニの食中毒に薬効があるとされています。
 
・ユズ湯について 
 古くから毎年12月の冬至の日に柚子湯に入るとその冬の間風邪を引かずに過ごせると言われています。
 江戸時代に銭湯で客寄せのため、冬至の日に柚子を入れたのが柚子湯が始まりと言われています。
 天保9(1838)年に刊行された、近世後期の江戸と江戸近郊の年中行事を月順に解説した『東都歳時記』(斎藤月岑(さいとう げつしん)編)には、11月(旧暦)の記載に 
「冬至。星祭。今日諸人餅を製し、家人奴僕にも与えて陽復を賀す。又来年の略暦を封じて守とす。今日、銭湯風呂屋にて柚湯を焚く」
 とあります。5月5日の「端午の節句」の菖蒲湯と同様に、現在も街の銭湯に受け継がれています。柚子(ゆず)=「融通がきく」、冬至=「湯治(とうじ)」。こうした語呂合せから、冬至の日に柚子湯に入ると言われていますが、もともとは「一陽来復」の運を呼びこむ前に、厄払いするための禊(みそぎ)だと考えられています。
  現在では柚子の様々な効能が明らかになっています。
柚子湯には血行を促進して冷え性を緩和したり、体を温めて風邪を予防したり、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果があります。
 
 柚子湯は、柚子の果実を丸のままお湯に浮かべる光景がイメージされますが、柚子の薬効による様々な効果を得るためには、柚子を細かく刻んでさらしの袋に入れ、湯に浮かべるのがよいとされています。
 
②リンゴ
 リンゴはバラ科リンゴ属 の落葉高木です。原産地はアジア西部のコーカサス地方といわれており、古くから栽培されてきた歴史があります。現在では世界中で数千種類が栽培されているといわれています。
 リンゴの香りにはリラックス効果があると言われており、心身ともに癒しを与えてくれます。
 近年食用としては出荷しない様々な種類のりんごを活用して、リンゴ風呂を行う温泉施設が増えています。
 
③その他の果物
 
 その他いろいろな果物が利用できます。下記以外もたくさんあります。ぜひ試してみてください。
 
 ダイダイ、ミカン、レモン、キンカン、カリン、マルメロ

(5)スパイス、野菜

  ショウガやミョウガ、トウガラシ、ニンニクなど家庭菜園や庭先で栽培できる野菜やスパイスの中にも入浴剤として利用できるものがたくさんあります。いくつか紹介します。
 
 

 
①ジンジャー
  ジンジャーは熱帯アジア原産のハーブで古代から医療に役立てられてきました。中国では生のジンジャーの根茎を生姜(ショウキョウ)、乾燥したものを乾姜(カンキョウ)と呼んで区別しています。
 発汗作用や消化促進作用があり、日本人にもおなじみのスパイスハーブです。
 
②トウガラシ
 
 トウガラシは南米原産のナス科の一年草です。日本への渡来は古く、香味野菜として全国各地で広く栽培されています。
 食用の他、漢方では、皮膚刺激薬や健胃薬として利用されています。
 
”薬湯:大海淳”には、入浴剤としての使用方法として
 ”入浴剤としては、紅熟したトウガラシの実10本ほどを薄く輪切りにして布袋に入れて水から沸かす。”
と記載されています。
 
③その他のスパイス、野菜
 食材としておなじみの野菜やスパイスの中にも、入浴剤として使用できるものがたくさんあります。
 
・ミョウガ、ニンニク、パセリ、セロリ、ソバ、ダイコン、ゴボウ、キュウリ

3.ハーブや薬草を使った入浴剤のレシピ

(1)ラベンダーのお風呂。


  ハーブを入浴剤として使用するには、乾燥させて(ドライハーブ)使用する方法と生(フレッシュハーブ)で使用する方法の2つがありますが今回の件は収穫したハーブをそのまま生(フレッシュハーブ)で使用します。
   

(2)フレッシュハーブ(生のまま)使用

 
•材料(1回分)  
 生のラベンダー(ラバンジン)   20g
 
•作り方 
ラバンジン他を洗い、布袋に入れて容器に置きます。
 
熱湯を注ぎしばらくそのままにします。
 
*そのまま浴槽に入れてもよいですが、40度程度の浴槽のお湯では、成分
が抽出しにくいので、今回は熱湯で抽出しました。
 
③そのままお湯をはった浴槽にいれて入浴を行います。
 
*大きいふたをして約30分そのままにしました。30分程度浸出して、その後40℃のお湯につかりました。
 

(3)ヨモギのお風呂。


  乾燥させて(ドライハーブ)使用する方法と生(フレッシュハーブ)で使用する方法の2つを紹介します。
 

(1)ドライハーブ(乾燥させて)使用

 
•材料(1回分)  
 乾燥させたヨモギ   20g
 
•作り方 
ヨモギを洗い、乾燥させます。
 
乾燥させたヨモギ20gをはかります。
  
③布袋などに入れます。
 
④入浴時に湯に入れて浸かります。
   

(2)フレッシュハーブ(生のまま)使用

 
•材料(1回分)  
 生のヨモギ   20g〜40g
 
•作り方 

•作り方 
収穫したヨモギを洗います。
 
またはハーブの入浴剤を入れる袋などに入れ、お湯を張った浴槽に入れ、入浴します.
 

4.ハーブや薬草を入浴剤に使用する上でのポイント

(1)加える素材の分量について

 いろいろな書籍により使用する量にバラつきがあります。
日本の薬草系の書籍では1回で200g〜400g(今回の10倍、かなり多め)との記載が多いです。西欧のハーブ系の書籍では20g〜40gと少なめです。
 
 熱湯で成分を抽出して使用する場合は20g〜40gと少なめに試してみましょう。
 そのまま直接浴槽に入れるなら、日本の薬草系の書籍のように200g程度入れてもよいかもしれません。
 

(2)加える素材の入手方法について

 ハーブや野菜などは、自分で栽培しものを収穫して使用するのがベストです。
無農薬の自然栽培で育てれば、殺虫剤や化学肥料など気にせずに使用することができます。
 ただし、ガーデニングが趣味という方はともかく、初心者の方は植物の植栽培は結構ハードルが高いものです。
 そういう方におすすめなのが、市販されているハーブティーの利用です。最近ではネット通販でいろいろなハーブが簡単に手に入りますので、試してみてください。
 
 スーパーや青果店で購入した野菜や果物も利用できます。基本的にいつも食用として利用しているものですから、同じように洗って使えばOKです。
 ただし、果物は、皮の部分により多く農薬が付着している可能性があります。
オレンジやレモンなど海外産の柑橘類は防かび剤が使用されています。
 皮の部分を入浴剤として使用する場合は、国産の有機栽培のものを使用した方が良いでしょう。
 
 野草は自然に生えている植物を収穫して使用します。
野山に出かけて行って収穫するというイメージが浮かびますが、目的の植物を確認して収穫するのはけっこう難しいものです。
 図鑑などで確認して収穫しますが、植物は時期や環境によって形が変わるし、形が似た植物もあるので、目的の植物だと確認して収穫するのは経験が入ります。
 
 まずおすすめなのはご自分の庭や近所です。つね日頃観察して、植物名を確認しておいて収穫すると良いでしょう。
 日頃観察する癖をつけておくと、身近に存在している自然や季節の移り変わりを感じることができ楽しいものです。
 

(3)入浴剤としてお風呂に入れてはいけない危険な植物

 ハーブや薬草というと、”良い香り”や”効能”というとプラスのイメージがうかびますが、身近な植物の中には有害な成分を含むものがあります。 
 毒キノコなどはその代表です。
 
 有害成分の種類や強弱はさまざまですが、皮膚や粘膜を直接ひたす入浴には使用を避けてください。
 
 有毒植物を以下にあげておきます。
 
・スイセン、ヒガンバナ、フクジュソウ、キンポウゲ、トリカブト、ミツマタ、ジャクナゲ、エゴノキ、アセビ
 
 
 

5.その他ハーブ・アロマで手作りするいろいろな入浴剤

アロマ手作り:入浴剤(バスソルト)を作る

アロマ手作り:入浴剤(バスソルト)を作る

 

バスソルト

天然塩を使った基本のバスソルトの作り方を紹介しています。

 

バスオイル

植物油を使った基本のバスオイルの作り方を紹介しています。
 

バスボム

重曹を使った基本のバスフィズの作り方を紹介しています。

 
お酒を使った入浴剤の作り方の紹介です。
ハチミツを使った入浴剤の作り方の紹介です。
牛乳などの動物性ミルクやココナッツなどの植物性ミルクなどを使った入浴剤の作り方の紹介です。
フレッシュラベンダーの入浴剤
ハーブや野草を使った薬湯のレシピです。

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