初心者のための手作りアロマクラフト講座(第三回):アロマクラフト作りの材料(精油)
精油は植物の香りの成分を抽出した天然の物質です。様々な植物から抽出されており、ブレンドすることも可能です。自分だけのお好みの香りを作ることができます。今回は精油についてより詳しく解説します。
初心者のための手作りアロマクラフト講座(第三回):アロマクラフト作りの材料(精油)
目次
1.手作りのアロマクラフトにとっての精油
(1)精油とハーブの関係について
(2)精油とアロマオイルの違い
(3)精油の特性
(4)植物によっての精油の役割
(5)精油の製造の歴史
(6)精油の製造法
(7)精油の作用と成分
(8)精油成分の構造による分類と特徴
2.手作りのアロマクラフトに使用する精油の種類と分類
(1)香りのタイプによる分類
(2)香りの揮発速度による分類
(3)抽出部位による分類
(4)原料植物の科名による分類
(5)成分による精油の分類
3.手作りのアロマクラフトに使用する精油のプロフィール
(1)精油のプロフィールの見方
(2)最も一般的で初心者向きの精油(アロマ検定2級対応精油)
(3)もっと色々精油を使ってみたい方のための精油(アロマ検定1級対応精油)
(4)初心者を卒業した方のためのその他いろいろな精油
(5)日本の精油
(6)花の精油
4.手作りのアロマクラフトのための精油の選び方と取り扱い上の留意点
(1)精油の選び方
(2)精油のブレンド法
(3)精油の保存法
(4)精油取り扱い上の留意点
(5)精油の希釈濃度について
5.手作りのアロマクラフトのための精油の購入方法と留意点
(1)精油のブランド
(2)精油の購入の仕方
参考 AEAJ表示基準適合精油認定制度
1.手作りのアロマクラフトにとっての精油
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。精油は、各植物によって特有の香りと機能をもち、 アロマテラピーの基本となるものです。
植物の中でハーブ(芳香植物)と呼ばれる約3500種類の中で、精油のとれる植物は約200種類程度と言われています。精油は植物の中の細胞組織内の小さな袋(油褒中)にしずくの形で存在し、花やつぼみ、枝葉、樹皮や樹脂、根など、あらゆる部位から抽出されます。
精油には芳香と薬効があり、フレグランスやフレーバー、医薬、農薬などに幅広く使われています。芳香は人の鼻(嗅覚)を通じて脳に働きかけ、心身の不調和を癒やします。
精油を安全に使うために、まず精油の性質や植物にとっての精油の働きを学びましょう。
(1)ハーブと精油の関係について
ハーブとは、芳香植物(香りのある植物)の総称です。薬草という意味もあります。
香りがあり薬効がありひとの役に立つ植物を一般的にハーブと呼ぶといってもよいでしょう。
芳香植物、ハーブの香りにはさまざまな薬効があるといわれ、精神面、肉体面どちらにも働きかけます。この働きはまだ十分には解明されていません。
ハーブの揮発性の有効成分を抽出したものが精油です。そこにはハーブのもつ薬効が凝縮されています。
ハーブを使った健康法は、民間療法として昔から存在しています。作用が穏やかであり、またクラフトやお茶にして楽しむことができます。日本でも、季節ごとに、菖蒲湯やゆず湯などの風習はおなじみです。自分で育てたハーブを使えば、植物のパワーをより身近に感じることができます。
精油は、ハーブより芳香成分が濃縮されているため、取り扱いには注意が必要ですが、初心者でも手軽に使えること、即効性があることが特徴です。
ハーブと精油を上手に生活にとりいれましょう。
(2)精油とアロマオイルの違い
一般に販売されているアロマオイルは、植物に由来する天然の芳香物質だけでなく、合成香料や、その香料をプロピレングリコールやアルコール、植物油や鉱物油などで希釈した製品を広く含んでいます。アロマオイルは、香水や化粧品、食品に添加する香料、ポプリ作り、芳香を楽しむために広く利用されています。アロマティックオイル、フレグランスオイル、ポプリオイル、フレーバーオイルなどいろいろな呼び名があります。
また、植物油に精油をブレンドしたアロマテラピートリートメント用のマッサージオイルも一般にはアロマオイルと呼ばれることがあります。
本サイトでは、下記の定義でしめされた天然の芳香物質をアロマオイル(精油)として使用し、紹介しています。
━━━日本:AEAJ: (公社)日本アロマ環境協会の定義
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。精油は、各植物によって特有の香りと機能をもち、アロマテラピーの基本となるものです。
(3)精油の特性
精油といっても油脂ではありません。いちばん多い誤解は、精油が植物油(例えばオリーブ油)と同じようなものと考えることです。しかし、精油はこれらの油脂とはまったく別の物質からできています。精油の正体は有機化合物です。天然の化学物質が数十から数百種集まってできたものなのです。精油の特質を次にしめします。
①芳香性がある。
②揮発性である。
③脂溶性である。
(親油性)水にはとけないが植物油には溶ける。
④精油は油脂ではなく有機化合物質である。天然の科学物質が数十から 数百集まってできたもの。
⑤濃縮されている。
⑥独特の香りといろいろな効果がある。
(4)植物にとって精油の役割
私たちは精油を使うことばかりに関心がありますが、ここで一度精油が植物にとってどういうものか、どのような働きをしているのか説明します。
①精油が分泌される場所
精油は植物の特殊な分泌腺とよばれるところで合成され、その近くに点在する油包(小さな袋)に蓄えられています。場所はさまざま。
②何のために分泌しているのでしょうか?
・誘引効果 昆虫、鳥類を引き寄せる。
・忌避効果 抗真菌効果 抗菌効果 菌、虫などを避けるため。
・他の植物との生存競争に勝つためその種子の発芽や成長をとめたり または押さえたりする効果。
・汗のように精油を揮発させて自分を冷却し、強い太陽の熱から身を守 る働き。 (5)植物内での情報伝達としてホルモンの様な働きをしている。
・植物内で不要になった老廃物である。
(5)精油の製造の歴史
精油は植物の香りの本質ともいえるものです。
古代エジプトやギリシャなどでは、昔から植物の芳香部分を医療や化粧などに利用してきました。13世紀頃にはアラビアで正式な蒸留法が成立して蒸留水が使用され、16世紀頃には精油を抽出する技術が確立されました。
16世紀から17世紀にかけてイタリアやフランスのプロバンスでかんきつ系の植物から香料がつくられはじめました。中でもプロバンス地方のグラースという町が中心です。アロマテラピーという言葉を作り出した”ルネ・モーリス・ガットフォセ”は、グラースで香水工場を経営していました。精油の製造は香水産業とともに発展してきたといってもよいでしょう。
植物から抽出される精油の量はとても少なく、そのため大変価値のある高価なものとしてあつかわれます。1tのラベンダーからは約3リットルしか精油がとれませんし、ローズの精油1滴をとるのに、約50本分のバラの花びらが必要とされます。今でも大変貴重なものです。
(6)精油の製造法
各種の植物から精油を製造する方法は、その精油の成分の特徴などの条件により、いくつかの違った製造法が選ばれます。
①水蒸気蒸留法/水蒸気で蒸して香りを採る
現在もっとも多く使われている抽出法。原料の植物を蒸留釜にいれ、直接蒸気を吹き込んだり釜にはいっている水を沸騰させたりして水蒸気で芳香成分を蒸発させる。その芳香成分を含んだ水蒸気は冷却すると液体になり芳香成分と水を分離して精油を得る。 「
水」には水溶性の芳香成分が溶け込んでいる。 この「水」を芳香蒸留水といい、フローラルウオーターとして広く利用される。
特徴:今手に入る精油の中で最も一般的な製造法です。蒸留時に熱を加えるため、高温で変質する成分は変質する可能性があります(例えば柑橘類など)。
②圧搾法 /圧力をかけて芳香成分を搾りとる
グレープフルーツ、レモン、オレンジなど柑橘類の果皮を圧搾して採油す る方法。昔は手で行っていたが、現在では機械で圧搾する。低温で圧搾するため、熱に不安定な柑橘類などは自然のままの香りを保て る。この方法で作られた精油は品質の劣化が早いので注意する。
特徴:柑橘類などの精油で使用されています。水蒸気蒸留法より成分が劣化しやすいのが特徴です。(通常水蒸気蒸留法の精油は開封後約1年に対して、圧搾法ではその半分の半年です。)劣化すると、一般的に酸っぱい匂いがするのでわかります。
③油脂吸着法/油脂に芳香成分をすわせる
ほとんど現在では行われていない。歴史的には大切な方法。 牛脂や豚脂やオリーブ油が香気成分を吸着する性質を利用。
・冷浸法(アンフルラージュ) 室温で行う。精製した牛脂(ヘッド)豚脂(ラード)の混合物、オリーブ油などの油脂の上に花弁をならべて花弁に含まれる精油を油脂に吸着させる。この飽和状態になった油脂を「ポマード」という。この油脂をエチルアルコール抽出して最後にエチルアルコールを除いて花の精油を得たものを「アブソリュート」ともいう。
・温浸法(マセレーション) 60〜70℃にあたためた油脂に花を加え、撹拌して油脂に精油成分を 吸着させる方法。後の作業は冷浸法と同じだが、あたためるので冷浸法よりも効率がよい。
特徴:歴史的に重要な製造法ですが、現在は市販ではほぼ入手できません。
④揮発性有機溶剤抽出法/芳香成分を直接溶かし出して得る
植物の芳香成分をよく溶かし出す揮発性の有機溶剤を使用して抽出する方法。花などの植物原料を溶剤釜に入れて石油エーテル、ヘキサン、ベンゼンなどの有機溶剤で抽出する。花をはじめ植物には天然のワックス成分があり、これも芳香成分と一緒に溶かされて出てくる。
その後芳香植物と溶剤を取り除き半固形のものが残る。これを「コンクリート」という。ここからエチルアルコールで芳香成分を取り出し、ワックス成分やエチルアルコールを除いて最後に得られたものをアブソリュート(Abs.という記号で表現される)と読んでいる。また樹脂などから上記の方法で芳香成分を取り出したものを「レジノイド」という。 アブソリュートには溶剤が少し残留することがある。
ジャスミンの精油は蒸留法では採れないので全てこの方法で抽出する。
特徴:ローズやジャスミンの花など、通常の製造法ではうまく採油できないものから採油するために使用されます。使用した有機溶剤を完全に除去できないため、アロマテラピーでは使用を限定している場合が多いです。海外のアロマテラピー団体の中には精油と認めていない団体もあります。
日本アロマ環境協会でも、当サイトでも。原則芳香浴での利用(人体には直接使用しない)をおすすめしています。
⑤超臨界流体抽出法(ガス抽出法)
液化二酸化炭素などに高圧力を加え超臨界流体になったものに芳香植物を取り込み圧力を戻し芳香成分を得る。これを「エクストラクト」と呼んでいる。
特徴:なるべく天然に近い成分を抽出するために開発された製造法です。他製造法より、天然に近い成分が抽出されるという試験結果もあるようですが、一般的にはまだ出回っていないようです。
(7)精油の作用と成分
精油は様々な成分を含んでおり、それぞれが複雑に関係して心と身体にいろいろな作用をします。その中でもとくに重要な作用と、代表的な精油や成分をいくつか紹介します。
①こころ、からだへの作用
・鎮静作用:心と身体の働きを鎮め 心身ともにリラックスさせる。催眠作用も
おもなもの:ラベンダー(酢酸リナリル)、カモミールローマン(アン ゲリカ酸エステル)
・鎮痛作用 :痛みをやわらげる。
おもなもの:ラベンダー(酢酸リナリル)、ゼラニウム(ゲラニオール)
・鎮痙作用 :筋肉の緊張をゆるめる
・消化、食欲増進(健胃)作用:食欲を増進させる
おもなもの:かんきつ系精油 オレンジ グレープフルーツ(リモネン)
・駆風作用 :腸内のガスを出す作用
・ホルモン調節作用 :ホルモンの分泌を調整する
おもなもの クラリセージ(スクラレオール)
・刺激作用 :外部から刺激し、心と身体の活動を高め活性化する
・強壮作用:身体の働きを強化する免疫賦活作用 、免疫の働きを強め高める作用 、利尿作用 尿を排出しやすくする作用
・去タン作用 :タンを切る作用
おもなもの ユーカリ(1.8-シネオール) ローズマリー(カンファー)
注 1.8シネオールやカンファーは刺激の強い成分ですので使用量や濃度に注意しましう。
②皮膚への作用
・収れん作用(アストリンゼント作用) :ひきしめる
・保湿作用(モイスチャー作用):水分を保ち乾燥を防ぐ
✴︎ 皮膚へのマイナス作用
皮膚刺激、粘膜刺激
精油のなかには皮膚を刺激したり粘膜を刺激したりするものがあるので注意する。滴数をまもること。
(8)精油成分の構造による分類と特徴
精油成分の多くは炭化水素(炭素と水素の化合物)からなっており、炭素原子間の結合の仕方や官能基の種類によって分類されています。
炭素原子間の結合には、飽和結合、不飽和結合があり、炭素が鎖状につながり、それに水素がつながっている鎖状構造や、炭素6個を基本単位とした環状構造があります。
さまざまな分子量の炭素原子に官能基が付加することで、いろいろな芳香物質となり、その成分の特徴が決定されます。
ここではその代表的なグループについて解説します。
*有機化合物を、同族(グループ)として特徴づける原子団のことです。
たとえばカルボン酸のカルボキシル基 -COOH ,アルデヒドのアルデヒド基 -CHO ,アルコールの水酸基 -OH などはその例です。
精油成分の分類
テルペン類
精油中もっとも多くを占めるもの。(C5H8)nなる分子式をもつ鎖状および環状の炭化水素で、母体のテルペン骨格をもつアルコール、アルデヒド、ケトンその他の誘導体まで含む。テルペン炭化水素の大部分は不飽和炭化水素であり、これがイソプレン(C5H8)の重合物と考えられている。芳香成分の基となるのは炭素原子5個を持つイソプレンで、イソプレン単位が1つのものをヘミテルペンという。多くのテルペノイド芳香物質はイソプレン単位を2つ持っている。(C10),つまり炭素の数が10、このような化合物をモノテルペンという。以下、イソプレンの数により、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン、などに分類することができる。
モノテルペン炭化水素;(C5H8)2→C10H16、リモネン、α−ピネン、オシメン
テルピネン
セスキテルペン炭化水素;(C5H8)3→C15H24 、カマズレン、ビサボレン
サンタレン、パチュレン
ジテルペン炭化水素;(C5H8)4→C20H32
それ以上つながると固体となり、容易に気化しないので香りが立たない。
厳密にいうと、テルペン類にはその他多くの構造式があり、異性体もいくつか存在する。(d—リモネン、l—リモネン、α—ピネン、β—ピネンなど)テルペン類の名前はいずれも「エン」、「ene」で終る。
アルコール類
炭化水素に−OH ヒドロキシル基(水酸基)がつくとテルペンアルコールになり、語尾は「オール」「ol」で終る。(フェノール類も同じ語尾になるので注意)
モノテルペンアルコール;リナロール、メントール、テルピネオール
ゲラニオール、シトロネロール、ラバンデユロール
テルピネン-4-ol
セスキテルペンアルコール;ネロリドール、ビサボロール、ベチベロール
パチュリアルコール、サンタロール
ジテルペンアルコール ;スクラレオール
芳香族アルコール ;フェニルエチルアルコール
アルデヒド類
炭化水素に−CHO(アルデヒド基)がつくとテルペンアルデヒドとなり、語尾は「アール」「al」またはアルデヒドで終る。
テルペンアルデヒド;シトラール、シトロネラール
芳香族アルデヒド;クミンアルデヒド、シンナミックアルデヒド
ベンズアルデヒド、バニリン
ケトン類
炭化水素に=O(カルボニル基)がつくとテルペンケトンになり、語尾は「オン」「one」になる。ケトン類は安定した化合物で、それ以上容易に酸化しない。
テルペンケトン;プレコン、カンファー、ヌートカトン、メントン、カルボン
環状ケトン;ジャスモン
フェノール類
アルコール類と同様に-OHヒドロキシル基(水酸基)を持っているが、フェノールの場合は直接水酸基がベンゼン環につながっている。このため、水酸基の部分は非常に反応性が強く、極めて刺激性が強くなりがちである。フェノールの名前は「オール」、「ol ,ole」で終る。
芳香族フェノール;チモール、オイゲノール、カルバクロール
エステル類
アルコールと有機酸から生成されるもので、精油の中にもエステル類は多く含まれている。これが多いものは芳香がよいとされている。エステルは概ね「〜イル〜エイト」「〜yl〜ate」で終る。
ex:リナロール+酢酸→リナリルアセテート
テルペン族系エステル;リナリルアセテート、メンチルアセテート
酸化物(オキサイド類)
強い反応性を持つ化合物で、高温下におかれたり、空気や水などに長い間さらされると容易に分解する。構造の特徴は−c−o−c−のように、酸素原子が炭素原子に挟まれた形で存在する。酸化物は「オール」または「オキシド」「ole,oxide」で終る。
テルペン系オキシド;1.8シネオール(ユーカリ属グロブルス種)
ラクトン類
分子のサイズが大きく蒸留しても採油されない場合が多い。圧搾法などでは多く含まれる。構造的には−co−o−という原子団を含む。
クマリン、ベルガプテン
カルボン酸類(酸類)
有機酸は一般に低揮発性で、—COOHという原子団を持っている。精油の中では非常に少なく、エステルの状態になっている。カルボン酸類は「酸」「acid」で終る。
酢酸、桂皮酸→桂皮酸エステル
2.手作りのアロマクラフトに使用する精油の種類と分類
植物の中でハーブ(芳香植物)と呼ばれる約3500種類の中で、精油のとれる植物は約200種類程度と言われています。精油は植物の中の細胞組織内の小さな袋(油褒中)にしずくの形で存在し、花やつぼみ、枝葉、樹皮や樹脂、根など、あらゆる部位から抽出されます。
精油の香りや特徴、人体への効果は、採油される植物の種類や、採油される部位、植物の生育する地域などにより様々です。その特徴を理解して利用することが大事です。
ここではその種類と分類法についていくつか紹介します。
(1)香りのタイプによる分類
精油(エッセンシャルオイル)にはたくさんの種類がありますが、その香りは、エキゾチック系、スパイス系、フローラル系など7つの系統に分類されます。
精油をブレンドする場合は系統を知っているとブレンドしやすくなります。同じ系統の精油どうしでは相性がよく、調和しやすくなります。系統の異なる精油をブレンドする場合は、効果や香りのバランスを考えて選択すると良いでしょう。
7つのタイプを紹介します。
①樹脂系の精油
甘くじっしりした奥深い印象が残る香り。
精油例:安息香(ベンゾイン)、乳香(フランキンセンス)、没薬(ミルラ)
②オリエンタル系の精油
甘みと静けさが同居する、エキゾチックな印象が残る香り
精油例:イランイラン、サンダルウッド、パチュリ、ベチバー
③スパイス系の精油
すっきりした香りで、シャープな印象が残る香り。
精油の例:クローブ、コリアンダー、シナモン、ブラックペッパー、ローレル
④フローラル系の精油
甘くやさしげで、華やかな気分が高揚する香り。
精油の例:ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ラベンダー、ローズ、カモミール
⑤樹木系の精油
森林の中にいるような、緑と木々の印象が残る香り。
精油の例:サイプレス、シダーウッド、ジュニパーベリー、ティートリー、ユーカリ
⑥柑橘系の精油
さっぱりした酸味を含む、フルーティーな香り。
精油の例:オレンジ・スイート、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、レモン
⑦ハーブ系の精油
草原を思い起こさせる、さわやかな印象が残る香り。
精油の例:キャロットシード、ペパーミント、スペアミント、セージ、タイム、ローズマリー
(2)香りの揮発速度による分類
精油はそれぞれ揮発する速度が違います。香りは3つの揮発速度に分類されます。揮発速度の違う精油をブレンドすることで、時間による香りの変化を楽しむこともできるし、バランスもよくなります。
①トップノート
揮発が早い成分が多く含まれます。
ブレンドした場合は、まず最初に香りを感じるものになります。
精油の例:オレンジ・スイート、グレープフルーツ、シトロネラ、ペパーミント、ティートリー、ユーカリ、ベルガモット
②ミドルノート
揮発速度が中程度のもの
ブレンドした場合はトップノートに続いて現れる香りで、これによって全体的な印象が決まります。
精油の例:カモミール・ローマン、ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ローズマリー
③ベースノート
時間がたつとほのかに香り、数時間以上持続します、
ブレンドした場合は、揮発速度が早い成分を定着させ、香りを長持ちさせる効果があります。
精油の例:サンダルウッド、パチュリ、ベチバー、ベンゾイン、フランキンセンス
(3)抽出部位による分類
植物は光合成により二酸化炭素と水から、酸素と生命維持にかかせない炭水化物を合成しています。これを一次代謝といいます。
さらに一次代謝で合成した炭水化物から、植物はさまざまな有機化合物を作り出しています。これを二次代謝といい、精油もこの過程で生成されます。つまり精油は植物の二次代謝産物といえます。
植物の部位の役割を知ることは精油の特徴を知ることにつながります。
①花の役割と精油の例
虫や蝶などを誘って受粉を促し、子孫を残すための種子を作ります。
花からとれる精油は華やかな香りのものが多く、ホルモンバランスが気になるとき、楽しい気分になりたいときなどによく使われます。
花の精油の例:イランイラン、カモミール・ローマン、ジャスミン、ネロリ、ローズ、
花と葉の精油の例:ラベンダー、クラリセージ
②果実の役割と精油の例
種子を遠くに運んでもらうため、おいしい果肉で鳥などを誘います。
果実からとれる精油はさわやかな香りもものが多く、消化器系のトラブルが気になるとき、リフレッシュしたいときなどに用いられます。
果皮の精油の例:オレンジ・スイート、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、ユズ
果実の精油の例:ジュニパーベリー、ブラックペッパー、カルダモン
③樹脂の役割と精油の例
樹脂は、幹から出た樹液が固まったもの。
幹の傷をいやし、菌などから守る働きがあります。
樹脂からとれる精油は個性的な香りのものが多く、心身を癒やしたいといなどによく使われます。
樹脂の精油例:フランキンセンス、ベンゾイン、ミルラ
④葉の役割と精油の例
光合成によって植物に必要な栄養素を作り出すとともに、人間や動物に必要な酸素を生み出します。
葉からとれる精油はすっきりした香りのものが多く、リフレッシュ作用、抗菌作用などがあるといわれています。
葉の精油例:スペアミント、ペパーミント、ティートリー
葉と枝の精油例:プチグレン、ユーカリ
全草の精油例:ゼラニウム、レモングラス、ローズマリー
⑤幹の役割と精油の例
根から枝葉に栄養を送る運搬路であるとともに、植物を支える背骨のような働きをしています。
幹(心材)からとれる精油は森林を思わせる香りが特徴。
リラックスしたいとき、心を鎮めたいときなどに活用されています。
木部の精油例:サンダルウッド、シダーウッド、ヒノキ
⑥根の役割
地中から水分や養分を吸い上げると同時に、植物をしっかり支える土台の役割をしています。
根からとれる精油は土のような深い香りのものが多く、心を落ち着かせたいときなどに向いています。
根の精油例:ジンジャー、パチュリ、ベチバー
(4)原料植物の科名による分類
ここでは、原料植物をグループに分けて解説します。同じ科の植物は、共通点も多いので、科ごとの特徴をつかんでおきましょう。
・シソ科
精油はすっきりしたハーブ調の香りのものが多くあります。
世界各地に分布、生育し、およそ3500種が知られているおおきなグループです。
精油の例:ペパーミント、ラベンダー、ローズマリー、クラリセージ、スイートマジョラム、パチュリ、メリッサ
・フトモモ科
さわやかですっきりした樹木の香りが特徴。精油を含む種が多く、香辛料やハーブに多く利用されています。
精油の例:ティートリー、ユーカリ、オールスパイス、クローブ、マートル、マヌカ
・カンラン科
樹脂を含む樹木が多くみられます。
落ち着いた香りで、古くから宗教行事などに使われてきました。
精油の例:フランキンセンス、ミルラ
・ミカン科
フルーツとしてもなじみがあり、さわやかで親しみやすい香りです。約900~1500種が確認されており、花や果実、葉からとれる精油は、薬用や香料として使われています。
精油の例:オレンジ・ スイート、レモン、グレープフルーツ、ベルガモット、ネロリ
・バラ科
イチゴ、リンゴ、モモなどの食用の果実や、バラ、サクラ、ウメなどの花の美しいものが多くあります。
精油がとれる種類は少ないものの、華やかな香りをもちます。
精油の例:ローズオットー
・ヒノキ科
うっデイな香りが特徴で、建築材などとして昔から盛んに植樹されてきました。木質化する球果をもちますが、ジュニパーベリーのように球果が液質化するものもあります。
精油の例:サイプレス、ジュニパーベリー、ヒノキ、ヒバ
・キク科
世界各地に分布し、双子葉植物では最も進化した植物と言われています。
精油がとれる種類は少ないですが、ハーブや薬草としたしまれているものがたくさんあります、
精油の例:カモミール・ローマン、カモミール・ジャーマン、イモーテル
・フウロソウ科
熱帯から寒帯にかけて世界に広く分布しています。
花びらやがく、などの数が5の倍数で構成されているのが特徴です。
精油の例:ゼラニウム
・ビャクダン科
さわやかな甘い香りが特徴で、熱帯を中心に分布しています。
科の名前になったビャクダンは、特に心材に強い香りがあり、線香の香りとしてもよく知られています。
精油の例:サンダルウッド
・コショウ科
香辛料などに使われるスパイシーな香りを持ちます。コショウのように食用に栽培されるもの、観賞用にもちいられるものがあります。
精油の例:ブラックペッパー、カルダモン、月桃
・イネ科
穀類や飼料作物として貴重な食料原となっています。
世界中でおよそ1万種近くが知られており、砂漠から南極大陸に至るまであらゆる地域に生育しています。
精油の例:ベチバー、レモングラス、シトロネラ、パルマローザ
・バンレイシ科
熱帯から亜熱帯を中心に生育し、日本ではなじみのない種類が多くあります。
精油がとれる種類は少ないですが、樹皮、葉、根は民間薬として親しまれているものもあります。
精油の例:イランイラン
・モクセイ科
特に北半球の温帯、暖帯に分布。
常緑または落葉性の大木で、花に芳香の強いものが多く、観賞用や香料に利用されています。
精油の例:ジャスミン、キンモクセイ
・エゴノキ科
北半球の温帯・亜熱帯を中心に分布。
花は主に白色で芳香をもつものが多く、観賞用としても栽培されています。
精油の例:ベンゾイン
・その他
セリ科
フェンネル、コリアンダー、キャロットシード、アニスシード、アンジェリカルート、クミン
スミレ科
バイオレットリーフ
アヤメ科
イリス
マメ科
コパイバ、ブルームスパニッシュ、ミモザ
アブラナ科
マツ科
シダーウッド、パイン、シベリアモミ
ナデシコ科
カーネーション
クスノキ科
クスノキ、クロモジ、ホーリーフ、リツエアクベバ、ラベンサラ、ローズウッド、ローレル
ショウガ科
ジンジャー
スギ科
スギ
ラン科
バニラ
クマツヅラ科
レモンバーベナ
(5)成分による精油の分類
精油にはさまざまな精油成分が含まれています。複数の精油に共通して含まれているものも多くあります。成分についの知識があると精油の利用についてにの幅がひろがります。
ここでは、代表的な成分をご紹介します。
・1.8シネオール
清涼感のあるミントやハーブを感じさせるような香りを持っています。去痰作用があるとされ、喉の炎症治療などの医薬品にも使用されています。
精油の例:ユーカリ、ローズマリー、ティートリー、ペパーミント
・ゲラニオール
甘さのあるローズのような香りをもつ成分です。抗炎症作用や抗菌作用に関する報告があります。
精油の例:ローズ、ネロリ、ゼラニウム、メリッサ
・酢酸リナリル
フレッシュでフルーティーな香りで、抗炎症作用があるといわれています。
精油の例:ネロリ、ベルガモット、ラベンダー、クラリセージ
・シトラール
レモンのようなフレッシュな香りです。皮膚感作性があるため使用の際は注意が必要です。虫よけ作用などが知られています。
精油の例:レモン、レモングラス、メリッサ
・テルピネン・4・オール
すーっとしたナツメグやライムのようなさわやかな香りをもちます。抗菌作用があるとされています。
精油の例:ティートリー、スイートマジョラム、ジュニパーベリー
・リナロール
さわやかなフローラル感のある成分です。抗菌作用や鎮静作用を持っています。ほとんどのハーブや柑橘系の精油に含まれている重要な成分です。
精油の例:オレンジ・スイート、ベルガモット、ラベンダー、イランイラン、ネロリ、クラリセージ
・リモネン
みずみずしいかんきつらしさのある香りを持つ成分です。交感神経活性作用や害虫忌避作用があるといわれています。
精油の例:オレンジ・スイート、グレープフルーツ、ベルガモット、レモン
3.手作りのアロマクラフトに使用する精油のプロフィール
(1)精油のプロフィールの見方
精油のプロフィーるには、科名、学名、産地、成分などの情報が記載されています。それぞれ精油を使用していくうえで意味があります。精油を使用する場合、それぞれ確認するとより安全で効果的に精油を使用することができます。
精油のプロフィールの見方
・原料植物名
精油の原料となる植物の名称です。
・別名
原料植物名の別の名称です。
・科名
生物の分類をするうえでの階級のひとつ。原料植物が属する科の名称です。
・学名
生物ひとつひとつにつけられた世界共通の学術上の名称です。
・主な産地
精油の原料植物が算出される国や地域の一例です。
・主な抽出部位
精油が抽出される原料植物の部位です。記載部分以外の部位からも精油が抽出されることがあります。
・精油抽出法
原料植物から精油を抽出する代表的な方法です。
・成分の一例
精油に含まれている芳香成分の一例です。原料植物の産地や栽培年なぢによっても含有費率は変わります。
・注意事項
使用にあたっての注意喚起です。
*成分が異なるケモタイプ
同じ種類の植物でありながら、精油の構成成分が大きく異なることがあります。これをケモタイプ(化学種)と呼びます。すべての植物にケモタイプが存在するわけではありませんが、たとえばローズマリーには、成分としてカンファーを多く含む種、シネオールを多く含む種、ベルベノンを多く含む種の3タイプはあり、それぞれ特有の香りや作用があります。
4.手作りのアロマクラフトのための精油の選び方と取り扱い上の留意点
(1)精油の選び方
①一般的な精油から選ぶ
香りは個人により感じ方に大きく違いがあります。自分の好きな香りを選んでみようといわれても、はじめは、なかなか難しいものです。当サイトでは2003年~2015年までアロマテラピースクールを運営していました。初心者の方には直感で好きな香りを選んで使用しましようとお話していましたが、迷って選べない方が多っかたです。
そういう方は、まず一般的な精油を何種類か選んで使用してみましょう。
使用してみてその中で気にいった精油を見つけましょう。
②香りを楽しんでみよう
精油は様々な効能をもっていますが、最初はそれにあまりこだわらず参考程度にとどめておくとよいでしょう。気になる精油まずためしてみて、なんとなくいいものを使用し、楽しみながら似た性質の精油を使用し、レパートリーを広げていくとよいでしょう。精油についての知識を深めていくと、より精油選びが楽しくなります。
*精油を選ぶときの留意点
・精油を選ぶとき最も大事なことは、それが芳香植物から抽出された、天然のものであることです。ポプリオイルなどと混同しないよう注意しましょう。
そのためにも信頼できる店で、信頼できるメーカーのものを選びます。
初めてなら、正しい知識をもったアドバイザーに相談するのがベストです。
・自分で選ぶ場合には、品名、学名、抽出部位、抽出方法など、表示に最低限必要なことが書いてあるかをチェックします。
また、輸入元や取り扱い注意もきちんと記載されているか、輸入品なら日本語表示がされているかもポイントです。
・精油の瓶は遮光性のあるガラス製で、できれば1滴づつおとせる内蓋(ドロッパーという)がついているものが、望ましいでしょう。
・店頭で香りを試すときは直接嗅がずに、空気に少し触れさせてから鼻先で香る程度にするか、むえっと(試香紙)につけて確かめます。このときの香りが使用したときの香りに近くなるからです。
*上記の精油(アロマオイル)の選び方は、あくまでもアロマテラピー(芳香療法)の一つとしてアロマクラフト作りを楽しむことを目的とする方のための精油(アロマオイル)の選び方の目安です。
必ずしも人工香料であるポプリオイルなどを否定するわけではありません。人工香料は、香水を始め生活の中のいろいろな場所で使用されています。香りが強く残るため、キャンドル作りなどでは強い香りを長く楽しむことができます。
使用目的に応じて使い分けましょう。
(2)精油のブレンド法
様々な精油をブレンドすると、香りが深まりより魅力が高まります。精油のブレンド時のポイントについて解説します。
①精油のタイプ
精油の香りは、エキゾチック系、スパイス系、フローラル系など7つの系統に分類されます。
精油をブレンドする場合は同じ系統の精油どうしでは相性がよく、調和しやすくなります。系統の異なる精油をブレンドする場合は、効果や香りのバランスを考えて選択します。たとえばフローラル系と柑橘系など、矢印の示す精油どうしなら香りの調和がとりやすいでしょう。
精油の相性
ハーブ系の精油 ⇆ 樹木系の精油 ⇆ スパイス系の精油 ⇆ 樹脂系の精油
⇅ ⇅
柑橘系の精油 ⇆ フローラル系の精油 ⇆ エキゾチック系の精油
*それぞれのタイプの精油の詳細については以下を参照してください。
精油のタイプによる分類
②精油の揮発速度
香りはトップノート、ミドルノート、ベースノートの3つの揮発速度に分類されます。揮発速度の違う精油をブレンドすることで、時間による香りの変化を楽しむこともできるし、バランスもよくなります。
(3)精油の保存法
精油は日光、熱、金属などの影響をうけやすく、香りが変化したり、色が変わったりすることがありますから保存方法に気をつけましょう。
①保存瓶について
・まず、精油は褐色やブルーなどの色がついた遮光性のあるガラス瓶に保存します。
*遮光瓶の色は遮光の程度に関係あるかとの質問がよくありますが、調べた限りでは明確な記載は見つけることができませんでした。遮光瓶であればどの色でも良いと思います。
②保存期間について
・例外もありますが、未開封なら約2年、開封したら1年程度が品質保持の目安です。
販売されている精油には消費期限がきさいされています。これは未開封の場合のものです。
が、最近は2年以上のものが多いようです。
また、柑橘系は半年程度。
逆に、サンダルウッドやパチュリーのように、年月を重ねるどとに質が向上する香木系もあります。
③購入量について
・どんな精油でも、購入時は使用期限をチェックして、たくさん買ってしまわずに、使いきれる量をこまめに買うことをおすすめします。
*一般に販売されている精油は3ml,5ml,10mlの瓶で販売されています。割高になりますが、最初は3mlか5mlでの購入がよいでしょう。
④香りのチェックについて
・精油の状態がわからないときには、香りで判断するのがいちばんです。ハンカチなどには1滴落としで、香りが一番新鮮かとうか確かめます。
*精油が劣化してくると酸っぱい匂いになります。このくらいなら初心者でもわかります。
⑤精油の保存方法
・そして、直射日光があ当たらない、風通しのいい冷暗所に、必ず瓶をたてて保存しておくのが必要条件です。揮発性が高く、空気に触れると劣化するので、使ったらふたをきちんとししめてください。もちろん湿気や火気も厳禁です。
とくに気をつけたいのがお風呂場などに精油を保存しないことです。
湯気で精油も瓶も劣化し、ふたがあかなくなってしまうこともあります。
*精油は一般的に空気や水と触れると化学反応を起こして劣化します。反応するためには紫外線や温度が関係します。反応しにくい環境で保存することが大事です。
保存環境として
遮光:紫外線に当てない
密封:空気に触れさせない
冷保存:反応する温度にしない
をおぼえておきましょう。
(4)精油取り扱い上の留意点
精油(エッセンシャルオイル)は植物の花や葉、根などから抽出されたものですが、自然の状態にくらべてかなり濃縮されているので精油を使用するにあたって注意がいくつかあります。
① 原液を直接肌に塗ったり、飲まないようにしよう。
② 目に入らないように注意しよう。
③ 精油は引火する可能性があるので、火のあるまわりでの使用は十分に注意する。
④ 高温多湿、紫外線を嫌うためキャップをしっかりしめて冷暗所に保管する。
⑤ 子供やペットの手の届かぬ場所に保管しましょう。
⑥ お年寄り、既往症のあるかたのための注意事項
基準の半分以下の量で試してから使用する。 不快であるようならば、しばらくアロマテラピーをさけたほうがよい。(一般の健康な人も同じ)トリートメントとして肌に使用していたならば、皮膚の上のブレンドオイルを大量の水で洗い流し、場合によっては石鹸を利用。
⑦ 妊婦のための注意
芳香浴以外の全身のトリートメントなどを実施されるときは専門家に相談する。
⑧乳幼児に関する注意事項
3才未満の乳幼児は芳香浴以外はおすすめしない。3才以上の子供でも大人の2分の1を越えない量を使用する。
⑨ 合成オイルと混同しないようにする。
アロマテラピーで使用する精油は天然原料として抽出されたもので合成のポプリオイルとはちがう。
⑩ かんきつ系の精油には光毒性があるので注意する。
ベルガモット、レモン、グレープフルーツの精油には光毒性がある。(日光によって反応し、肌に刺激を与える成分が含まれていることがある)皮膚に塗布するときは外出前や外出中は注意すること。
(5)精油の希釈濃度について
精油(エッセンシャルオイル)は植物の成分を濃縮しているため、皮膚に使用する際は、原液では刺激が強いため、植物湯などで希釈して(薄めて)して使用することが大切です。いい香りだからだと、多く入れるぎてしまうとその刺激で体に悪影響が出てしまうことがあります。個人差や使用法によりその刺激の程度は様々ですが、日本アロマ環境協会では、多くても全体の1%(顔など皮膚の薄い場所の場合は(0.5%)程度を目安として推奨しています。。
通常の精油瓶には口にドロッパートが付いていて、精油が適量しか出ないようになっています。精油瓶をゆっくり傾けていくとポトッと1滴落ちますが、その分量はだいたい0.05mlです。
例えば基材50mlに対して希釈濃度を約1%にするにはどうしたらよいでしょうか。
植物油50mlに対しての1%は
50ml×0.01=0.5ml
です。この算出した量を0.05ml(1滴)で割ると
0.5ml ÷ 0.05ml = 10滴
になります。
作成量(基材量) 精油(1%) 精油(0.5%)
10ml 2滴 1滴
20ml 4滴 2滴
30ml 6滴 3滴
40ml 8滴 4滴
50ml 10滴 5滴
*精油瓶にドロッパーが付いていない場合はスポイトを使用します。スポイト1滴はドロッパー1滴の約半分です。
5.手作りのアロマクラフトのための精油の購入方法と留意点
(1)精油のブランド
精油(アロマオイル)はたくさんのメーカーから販売されており、その価格や品質もさまざまです。使用目的によっても選び方もさまざまです。ここでは、初心者のかたがアロマクラフト作りのために安心して使用できるブランドをいくつか紹介します。
①一般的で初心者向けの精油
一般ユース、プロユースとも幅広く使用されているブランドです。当サイトでも、アロマクラフト作りに使用しています。
・ニールズヤード
https://www.nealsyard.co.jp
アロマの本場・イギリスの老舗ブランド 「ニールズヤード レメディーズ」は、アロマセラピストや美容家にファンが多いイギリスの老舗ブランドです。 オーガニックへのこだわりが強く、ラインナップの多くが厳格な基準で知られる英国ソイルアソシエーションによる認定を取得しています。
・生活の木
https://www.treeoflife.co.jp
業界随一の品揃えを誇る、有名ブランド 「生活の木」は、アロマ好きなら誰もが知っているアロマテラピーの有名ブランドです。 精油は170種類以上、オーガニック精油や和の香り(和精油)も揃っているので、初心者から上級者まで好みに合った精油が手に入ります。
当サイトで2015年まで運営していたハーブショップは、当ブランドでを扱っていました。
・フレーバーライフ
https://www.flavorlife.co.jp
「フレーバーライフ」は、国内外の品質にこだわった精油を取り扱うアロマテラピーの専門メーカーです。 生活の木やニールズヤードに比べれば、一般的な知名度は低いのですが、全国2,000社以上のプロが使用する業務用として、香りの教材や施術用に広く愛用されています。
(2)精油の購入の仕方
精油はインターネットや通販で手軽にかえますが、精油についての情報は自分で集める必要があります。めんどうな方は最初はアロマテラピーの専門店での購入がおすすめです。香りが直接確認できるうえ、精油の情報や使用法も相談できます。
①精油を購入するにあたっての留意点
先の精油の取り扱い上の留意点でも説明しましたが、購入に当たったて精油取り扱い上の留意点をもう一度説明します。
精油は天然の植物から抽出された天然の物質のため、製造や保存課程で品質が変化するので注意が必要です。購入するにあたっての主な留意点は以下のとおりです。
・品名、学名、抽出部位、抽出方法など、表示に最低限必要なことが書いてあるかをチェックする。
・輸入元や取り扱い注意もきちんと記載されているか、輸入品なら日本語表示がされているかを確認する。
・精油の瓶は遮光性のあるガラス製で、できれば1滴づつおとせる内蓋(ドロッパーという)がついているものが望ましい。
・最初のうちはなるべく少量購入する。そのブランドで販売されている最小量を購入すると良い。(1ml、3ml)
参考 AEAJ表示基準適合精油認定制度
https://www.aromakankyo.or.jp/aeaj/activity/oil/
AEAJ((公益社団法人)日本アロマ環境協会)では、消費者を保護する観点から、精油ブランドを対象とした「表示基準」を定めているので紹介します。
この認定制度は、あくまでも表示基準の認定であり、精油の品質認定ではありません。ただ、必要情報が開示されているということはその商品の品質を知る最低条件でもあるので参考としてください。
必須表示項目
AEAJ表示基準適合認定精油として認められた精油にはラベル部分や使用説明書に必ず精油製品情報の8項目と4つの使用上の注意事項が記されています。
① 精油製品情報(8項目)
1. ブランド名
2. 品名
「ペパーミント」や「レモン」などの植物の名前(通称名)が表示されています。
3. 学名
植物は国や地域の方言により呼び名が異なることがあるため、学名を使用することで間違いを防ぐことができます。
4. 抽出部分(部位)
同じ学名の植物でも抽出部分が異なると精油の内容も異なります。例えば、花と葉では当然香りも違ってきます。
5. 抽出方法
同じ植物、抽出部分でも抽出方法が異なれば精油の内容も異なります。同じ植物から異なる抽出方法により抽出されている精油もあります。
6. 生産国(生産地)または原産国(原産地)
産地により土壌、天候が異なるため、精油の内容に大きな影響を与えます。産地は精油の個性をあらわす重要な情報です。
7. 内容量
精油の内容量を示しています。
8. 発売元または輸入元
精油を販売する上で責任の所在を表すものです。発売元や輸入元、製造元または販売元が記載されています。
② 使用上の注意事項
1. 原液を皮膚につけないでください。
2. 絶対に飲用しないでください。
3. お子様の手の届かないところに保管してください。
4. 火気には十分ご注意ください。