アロマ手作り:フランキンセンスのミツロウクリームをつくる。
フランキンセンス精油、ベンゾイン精油、スイートアーモンド油、アプリコットカーネル油、みつろうをつかう。
フランキンセンスは乳香の樹の樹脂から採れる香料で、古代から黄金に匹敵する価値があるとして取引されてきた歴史があります。現代でも大変珍重されている香料です。

アロマ手作り:フランキンセンスのミツロウクリームをつくる。
目次
1.使用する材料
(1)植物油
(2)ミツロウ
(3)精油(アロマオイル)
2.使用する器具
3.基本のミツロウクリームの作り方
4.ミツロウクリームを作る上でのポイント
5.その他クリームの記事
1.使用する材料
クリームを作るのに基本となる材料は、植物油とミツロウです。この基本の材料に様々な材料を加えることによりお好みのクリームを作ることができます。
(1)植物油・バター

植物油とは植物に含まれる脂質を抽出・精製した油脂・油で植物油脂とも呼ばれています。アロマテラピーや手作り化粧品の本などでは、キャリアオイル、ベースオイルなどとも記載されています。常温で液体のものを 直物油、固体のものを 植物性バターと呼んでいます。
植物油やバターは、植物の種や胚芽、実に含まれる油分を取り出して作られます。近年は技術の発展によりさまざまな植物から油が作られるようになっています。肌を保湿する効果や、原料植物の持ついろいろな働きをもっています。
市販されているものには食用と美容用がありますが、アロマグッズを作る場合は美容用のものを使用しましょう。
今回は、 スイートアーモンド油と、 アプリコットカーネル油を使います。
①スイートアーモンド油
スイートアーモンドの種子から採れるオイルです。アーモンドの木は中東原産で、現在は地中海沿岸の国々やカリフォルニアの恵まれた暖かい気候の中で栽培されています。この木は古代の木で、何千年もの間栽培されてきました。
スイートアーモントオイルは、薄黄色でわずかに粘性が有りあります。オレイン酸を80%も含む栄養価の高さとサラリとした使用感で、サロンなどで最も頻繁に使用されています。
②アプリコットカーネル油
アプリコット油はアプリコット(西洋杏(アンズ))の種子の仁から採油されるオイルです。アンズの種子の仁は杏仁(アンニン)として中華料理の食材としてもよく知られています。漢方薬としても使用されています。
サラサラした質感ですべりが良く、また肌によいオレイン酸やビタミン成分をたっぷり含んでいるため美容液としても使用されています。
(2)ミツロウ
「みつろう」とは、ミツバチが作り出す天然のロウのことで、ビーワックス、ビーズワックスとも呼ばれておりミツバチの巣の材料になっているものです。
市販されている製品は「精製されたもの(精製)」と「未精製のもの(未精製)」に大きく分けられます。精製されたものは色や香りがあまりなくクセがないため、誰にでも使いやすいのが特徴です。それに対して未精製なものは、色や香りがありクリアに比べて粘性も強く、ミツロウ本来の栄養価が損なわれずに含まれています。
今回は精製されたミツロウを使用します。
(3)アロマオイル(精油)

1)精油とは
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。精油は、各植物によって特有の香りと機能をもち、アロマテラピーの基本となるものです。
精油1kgを得るために、ラベンダーなら花穂を100~200kg、ローズなら花を3~5トン も必要とします。
大量の原料植物から、ほんの少ししか採れない貴重なエッセンスです。
2)今回使用する精油
今回使用する使用する精油は フランキンセンスと ベンゾインです。
フランキンセンス(乳香)はオリバナムとも呼ばれ、カンラン科ボスウェリア属の樹木から採取される樹脂から採れる精油です。
フランキンセンス(乳香)はミルラ(没薬)とともに、紀元前より薫香に用いられていた古典的な香料で、古代の王族や貴族の社会において黄金に値するものとして取引されていた歴史があり、現代においても大変珍重される天然香料の一つです。
フランキンセンスは、ふかみのある日本のお香のようなスモーキーな香りを持ちます。心を慰めながら、気持ちを高揚させる両面をもつ香りです。鎮静と高揚。心を鎮静させながら、ゆっくりと強壮するというバランスのとれた効果を持ちます。
スピリットとアロマテラピー/ガブリエル・モージェイ著には、
”フランキンセンス精油には、特に神経系に重要な作用があり、リラックスさせて活力を与える力は、神経系の緊張と貧困の両方に効果的である。”
と、記載されています。
また、肌に活力を与え、シワやしみを改善する「若返りのハーブ」、「アンチエイジングの精油」として人気があり、ローションやクリームなどの化粧品にも使われています。
甘い香りのベンゾインをブレンドしました。
①.フランキンセンス
暑く乾燥した地域に育つ樹木の樹脂から採れる精油です。古くは金と同じほど貴重な香料として知られていました。気持ちを穏やかにさせるほんのりした香りです。肌に活力を与えシワやシミを改善する「若返りのハーブ」としてローションやクリームなどの化粧品にも使われています。
②.ベンゾイン
バニラに似たとろけるような甘い香りの精油です。バニラに似たその甘い香りは、孤独や喪失感をやわらげ、気分を楽にしてくれるといわれています。ほかの香りに加えると香りが長くとどまる保留剤としても使用されています。
2.使用する器具
ここでは、クリームを作るために使用する主な用具を紹介します。材料と同じように、用途に合わせて適切な用具を使うことがポイントです。ご家庭のもので代用できるものも多くありますので、必要に応じて徐々に揃えていくとよいでしょう。
・鍋および熱源またはオイルウオーマー
クリームを作る際、機材(ミツロウ)を溶かすために使います。今回はオイルウォーマーを使います。少量のクリームなどを作る時に便利です。
・ビーカー
材料を入れて湯煎にかけるときに使用しますので、耐熱性のものであればビーカーでなくても構いません。大量に作る予定でないのなら、大きすぎない容器を選ぶようにしましょう。30mlと50mlぐらいが便利です。
・攪拌(かくはん)用のガラス棒
溶けた材料を混ぜるときに使用します。こちらも耐熱性のものが好ましいですが、使い捨てでいいのなら竹串や割りばしでも構いません。
・クリーム容器
作る分量が入る容器を用意します。ガラス製ですと、煮沸消毒ができますので繰り返し使用できます。遮光瓶タイプならより長期に保存が可能です。また、ボトルに香りが残りにくい利点があります。樹脂製の容器は持ち運びするときには便利で値段もガラスより安く上がります。お好みのものをそろえてみてください。
・計量スプーン
料理用の計量スプーンで代用できます。小さじ、大さじがあるとよいでしょう。
・温度計
湯の温度を測るときにあると便利です。
・はかり
ミツロウなどの固形物の基材を量るときに使います。料理で使用する1g単位で量れるデジタルスケールがあるとよいでしょう。
・ラベル
作ったものの内容(材料、作成日など)を記入しておきます。
3.基本のミツロウクリームの作りかた
━━━フランキンセンスのミツロウクリーム(ボディー用50mlクリーム容器用)

•材料
みつろう(精製) 6g
植物油
スイートアーモンド油 20 ml
アプリコットカーネル油 20ml
精油
フランキンセンス 8滴
ベンゾイン 2滴
クリーム容器(50ml) ラベル
かくはん棒 ビーカー 量り
オイルウォーマー
•作り方
① ミツロウと植物油をはかり、オイルウォーマーの鍋に入れます。
*みつろうはミツバチから分泌されるロウで、抗菌作用、保湿作用などをもち、クリームなどの固さを調節するため植物油と混ぜて使用される場合があり(参考アロマテラピー用語辞典)アプリコット油とスイートアーモンド油はどちらも保湿作用と柔軟作用などがあります(参考植物オイル・ハンドブック)
②キャンドルに火をつけて、オイルウォーマーの上部を置きみつろうが溶けるまでそのままにします。
*今回のみつろうは、精製したものです。オイルウォーマーはみつろうをとかす時につかう道具です。
③みつろうが溶けたらクリーム容器に注ぎ、竹串でよくかき混ぜます。
*かき混ぜながらさましていくのがコツです。マヨネーズ状態になるまで気長にかき混ぜましょう。
④粗熱がとれたら精油を加えてかき混ぜて固まったら出来上がりです。
*今回は、フランキンセンス精油の他にベンゾイン(安息香)精油を加えてみました。熱帯の高木アンソクコウノキの樹脂から溶剤抽出法で採取され、心理面においては鎮静作用の精油と考えられていて、また安息香のハンドクリームは湿度の高い寒冷の気候からしっかりと手をまもります(参考スピリットとアロマテラピー)
・使用後の感想
使用してみたところ、フランキンセンス精油の香りがやさしく感じました。夜に寝る前に使用するのもよいと思いました。肌にはしっとり感もありました。
これからますます活用する機会が多いみつろうクリームですが、これからはまたいろいろと紹介していきたいと思います。
4.ミツロウクリーム作るためのポイント
(1)加える精油の分量について
精油(エッセンシャルオイル)は植物の成分を濃縮しているため、皮膚に使用する際は、原液では刺激が強いため、植物湯などで希釈して(薄めて)して使用することが大切です。
いい香りだからだと、多く入れるぎてしまうとその刺激で体に悪影響が出てしまうことがあります。
個人差や使用法によりその刺激の程度は様々ですが、日本アロマ環境協会では、多くても全体の1%(顔など皮膚の薄い場所の場合は(0.5%)程度を目安として推奨しています。
例えば全体量50mlに対して希釈濃度を約1%にするにはどうしたらよいでしょうか。
全体量50mlに対しての1%は
50ml×0.01=0.5ml
です。この算出した量を0.05ml(1滴)で割ると
0.5ml ÷ 0.05ml = 10滴
になります。
作成量(基材量) 精油(1%) 精油(0.5%)
10ml 2滴 1滴
20ml 4滴 2滴
30ml 6滴 3滴
40ml 8滴 4滴
50ml 10滴 5滴
今回使用する量
今回はボディオイルとしても使えるヘアオイルなので、0.5%濃度としてレモングラス、ラベンダー合わせて2滴使用しました。
*精油瓶にドロッパーが付いていない場合はミニスポイトなどを使用します。ミニスポイト1滴はドロッパー1滴の約半分です。
(2)精油を加える時のポイント
精油瓶はゆっくり傾けてポトッと1滴落とすのがポイントです。
粘性の高い精油の場合は特に落ちにくいので、じっくり待つことが必要ですが、それでも落ちない時は精油瓶の底をポンポンと指で叩いてみると良いでしょう。
慌てて瓶を振ってだそうとすると、どっとでてしまうことがあるので注意しましょう。
(3)上手に作るためのポイント
・ミツロウは約60℃以上で液体になります。
一旦温度を上げて溶かした後そのまま放置しておくとまたミツロウと植物油に分離してしまうので、火を止めてからかき混ぜながら冷やしていくのがポイントです。
マヨネーズ状になれば出来上がりです。
(4)使用方法と保存方法
高温多湿を避け冷暗所(冷蔵庫)に保管し、なるべく早めに使い切りましょう。
保存期間の目安(日本アロマ環境協会アロマテラピー検定テキスト1級より)
・水が含まれるものはおよそ1〜2週間
・植物油などが中心のオイルやクリームは1ヶ月程度